よく「自分は乱視がある」「乱視はない」という言い方をしますが、それでは「乱視」とは一体どういう状態のことをいうのでしょうか。
人間の眼球や角膜はテニスボールのような正確な球体が描くカーブではなく、縦と横のカーブ(球面の比率=屈折率)が若干違っています。
またそのカーブはすべての人が微妙に少しずつ違い、極端な場合ラグビーボールのように違う場合もあります。
成人した大人は皆、多少なりともこのような縦横のカーブが異なった眼型であり、
その比率の違いが検出される場合、一般に「乱視がある」と言われます。
「乱視がない」と思っていらっしゃる方も多いですが、正確に検査すると、実はわずかに乱視が発見されるということもよくあります。
乱視は決して特別な状態ではありませんから、乱視があるからといって何も心配はいりません。
しかし、ものの見え方に不具合が出るような場合は、もちろん眼鏡等で矯正する必要がでてきます。
メガネレンズは3種類の「度数」を組み合わせた設計がされています。
3種類の度数には、球面度数(遠視と近視の矯正をする)、プリズム度数(斜視や斜位を矯正する)、そして乱視度数があります。
目で見たものは網膜上に刺激となって伝わり、その中心点(網膜の黄斑部中心窩)から脳に伝達されるようにできていますが
網膜上にハッキリした像が映らない場合には、ぼやけた映像しか脳に伝わりません。
これを矯正して網膜上に焦点を結ばせるために、メガネの左右のレンズには上記3種の度数が複合して入れ込まれており、乱視度数はそのひとつで重要なファクターです。
上図のラグビーボールのような眼球の場合、縦の屈折力より横の屈折力のほうが強いので、像を結ぶ位置が縦横で異なってきます。
これをレンズで矯正することによって、双方正確に、網膜の上で像を結べるようにすることが可能です。
(※乱視またはプリズム度数はすべての方に必要なわけではないので、検査の結果それらの度数が入っていないメガネをかけられて問題ない方も多くいらっしゃいます)
乱視には度数と軸があります。
度数とは乱視の強さを表す表記で、マイナス表示で0.25刻みになります。-0.25程度ですと軽度の乱視で、レンズに度数を入れて矯正する必要がない場合もあります。
-1.0以上の度数があると、眼鏡などで矯正しなければ、ものの見え方に不具合が生じたり頭痛が出ることもあります。
また-3.0以上の度数がある場合は強度乱視とされ、一般の眼鏡店ではきちんと矯正を行うことが難しくなってきます。
乱視の軸とは、カーブの傾きのことを言います。
軸は1度から180度の間で表示され、軸が10度、20度などの微妙な角度の方もいらっしゃいます。
しかし量販店などでは、この軸の傾きを180度か90度の2方向しか考慮しないということもありえます。
そうした微妙な軸の傾きの調整が行われていないレンズをかけると、乱視の矯正ができていないということもありえます。
この度数と軸を正確に検査するのがメガネ店の仕事ですので、乱視に不安のある方は特にこの点を注意してメガネ店を選ぶ必要があるともいえます。
強い乱視は視力を大いに低下させ、眼精疲労の原因ともなりますが、 弱い乱視もそれを正確に検出すれば、同じ1.0の視力であっても視力の質が向上し、スッキリ感が増しますし、眼精疲労も軽減されることが良くあります。 したがって弱い乱視ほど丁寧に検出することが肝要です。
乱視を正確に検査するためには「クロスシリンダー検査」と「両眼開放屈折検査」という2種類の検査を複合して行うことが必要となってきます。
どちらの検査も知識とテクニックが必要ですので、通常は眼鏡技術学校などでしっかりと学んだ後に、長年の経験を積みながら身につけていくものです。
量販店のアルバイトの店員などが気軽にできるものではありませんし、オートレフやビジョンテスターなどの簡易検査を行うコンピューター機器では正確な数値を出せませんが
機械の検出した数値で適当な乱視度数を決定しているお店や眼科など、実際にはたくさんあります。
当店では、「クロスシリンダー検査」と「両眼開放屈折検査」の両方を行い、正確な乱視度数を測定するともに、
お客様の目の状態や生活習慣などにあわせて、適切なレンズの設計を行なっています。
検査の詳細についてはリンク先を御覧ください。
では正確に乱視を測定し、適切な視力の出せるメガネを作ってくれるメガネ店はどうやったら見つけられるでしょうか。
「より良い乱視用メガネ」を調製できるよう日々精進しているメンバーが集まっているのが、こちらの「乱視メガネ研究会」です。
乱視メガネ研究会のホームページへ
お近くの信頼出来るメガネ店を検索できますので、乱視が心配な方、乱視で困っている方はぜひお気軽にご相談ください。
